真女神転生

2021年11月11日、任天堂switchで真女神転生Vというゲームが発売された。

タイトル「真女神転生Ⅴ」の数字の意味は、真女神転生シリーズの大きい区分けで5作目という事を表している。

興味のある方は、YouTubeにあがっている『真・女神転生V』30秒TVCMをぜひ見て頂きたい。
真女神転生VのCMでありながら、初代真女神転生を楽しんだ人達の心を揺さぶる様な、情緒あふれる良いCMだと思う。

CMに心動かされた人の一人として、「真女神転生」発売当時の頃を少し思い出してみようと思う。

1992年。

当時は、オカルトや超常現象と世の中の親和性は今よりも高かったように思う。
夏休みの時期には、お昼に心霊ドラマを流していたし、UFOや超能力特番なども頻繁にテレビで流れていた。
1999年7の月~ でお馴染みノストラダムスの大予言だって、一部では大人気だった。

そんな中、当時大人気だったスーパーファミコンで、異色のゲームが発売されたのだ。
ドラクエやファイナルファンタジーの様なRPGというジャンルのゲームなのだが、
ゲームの時代設定が、架空の中世や未来の話ではなかった。

舞台は現代、東京だという。
しかも、普通のゲームでは、主人公の仲間になるのは人間と相場が決まっているのだが、
この「真女神転生」なるゲーム、ゲーム雑誌で情報をかき集めるに、仲間になるのはなんと悪魔だという。

しかも、悪魔を召喚するのに、プログラムを用いるという。
すげえ、なんだそれ。わけわからないけど、何かすげえ。
当時の私は、そのオカルトと科学が融合する斬新な設定に痺れた。心を掴まれた。

悪魔を仲間にする方法も斬新だった。
その世界で有名な悪魔を仲間にするのではなく、ゆく先々で遭遇した悪魔と会話、
交渉をし、互いに納得(?)したうえで仲間になるのだという。

ゲーム雑誌で情報を集めれば集めるほど、私は、このゲームをやりたくなった。
その頃我が家には、ゲームボーイしかなく、スーパーファミコンはおろかファミコンも無かった。
私は、年々貯めていたお年玉の使い道はここだと確信し、
発売日、スーパーファミコン本体と一緒に「真女神転生」を手に入れた。

今思えば、最初に購入したソフトが「真女神転生」はなかなか業が深いなと思わなくもない。

とにもかくにも、念願かなって「真女神転生」を遊ぶことができた。

感想としては、強い刺激、強い爽快感を楽しむ様なゲームではなかった。
今まで味わった事がない世界観や生々しい人間性、
これらをゲームというフィルターを通して淡々とこなしながら味わう、妙な旨味というか中毒性があるゲームだった。

大抵のゲームは、主人公の姿を上から見下ろす様な客観的な視点を採用しているのだが、
「真女神転生」は主観、一人称視点。
自分の姿はテレビには最初から最後までほぼ表示されない。

物語の構成も淡々としていた。災害に巻き込まれた主人公が人々と会い、物事を対応していく。
そこに、変な盛り上げる要素はない。固い物語を和らげるお調子者の人物もいない。

「自分が客観視されない」+「淡々と進む物語」

それらが却って、ゲームをプレイする側からすれば、変な現実味を受けるというか、
ドキュメンタリー映画の様な生々しさを感じた。

私は、ニュートラルという状態でクリアしたのだが、エンディングも淡々としながら、考えさせられるものだった。
本当に子供向けのゲームだったのか。
絶妙な世情にピンポイントで発売された、稀有なゲームだったと今でも思う。

そんな私は、文章の冒頭で述べた通り、まんまと公式30秒CMで心を動かされた。
手元には、先日届いた「真女神転生V」がある。

大人になって、当時ほど熱中できないだろうが、久しぶりに悪魔と共に旅に出てみようかと思う。

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